AKB Election

まもなく総選挙がある……と言っても、国政ではなくAKB48の話だ。民放のテレビ局(フジテレビ)ではゴールデンタイムに特別番組の放映を予定しており、インターネットではgoogle+を利用した選挙速報がリアルタイムで発信されるようだ。もちろん僕は、こうしたポピュラー文化の軽薄さを否定しない。むしろ、ポピュラー文化だからこその軽薄さを重要なものだと考えている。もっともそこには、条件が付加されることは言うまでもない。ポピュラー文化の軽薄さは、平穏な社会があってこそ成立するものだ。そしてそこでは、ポピュラー文化の存在意義は日常から非日常への解放にある。日々の不安や煩わしさをほんの束の間でも忘れようと、ポピュラー文化の軽薄さが存在意義を発揮する。だけど、現実が虚構になってしまったかのような非日常化した日常のなかでは、ポピュラー文化の軽薄さに存在意義を見いだすことはできない。好むと好まざるとにかかわらず、僕らはポスト3.11という困難な時代に生きている。そして今、ポピュラー文化に求められているのは、軽薄な非日常化した日常に対して問題を提起することだろう。少なくとも、メンバーの人気投票に浮かれている状況を煽っている場合ではないのだ。