Hip-hop Culture

学習指導要領の改訂を受けて、今年度から「ヒップホップダンス」が中学校の保健体育に取り入れられるようになった。マスコミでも報じられたこの話題に、僕自身も興味を持った。そもそも、ストリートから生まれたヒップホップカルチャーが、教育の文脈に組み込まれること自体がナンセンスなのだ。京都では昨年、クラブを「悪の温床」として、風営法の名のもとで締め出しをおこなった。「(ヒップホップ)ダンス」には「イリーガル」な行為がつきまとうというわけだ。その一方で、「(ヒップホップ)ダンス」を健全なものに仕立て上げて教育の場に取り入れようとする文科省の動きがある。もっとも、このような状況は、「クールジャパン」言説のもとでアキバ系を日本のポップカルチャーの代表として売り出すと同時に、「オタク」的なるものとしてスケープゴートにしてしまう動きと同じものだ。さて、その「ヒップホップダンス」だが、授業での必修化を受けて、「ヒップホップダンス基本技能指導士検定」なる公的資格が採用されるという報道があった。この資格に関する管理・運営は、厚生労働省認可の財団法人と一般社団法人の2団体がおこなっている。ここで素朴な疑問が浮かんできた、この資格がなければ中学校の教諭は体育の授業を教えられないのだろうか? さっそく文部科学省の担当部署に電話で問い合わせてみると、答えはノーだった。あたかも資格取得が必須のように報じられているが、そのような事実はまったくないのだ。ちなみに、検定を受験する際には25,000円がかかる。一般社団法人では研修会を開催しており、講習料24,000円とテキスト代6,000円かかる。さらに、合格者は認定登録料として別途5,000円が必要になるという。そのうえ、経年の更新金まであるというのだ。つまり、この検定にかかわっている2団体は、「ヒップホップダンス」の必修化にともない巨額の富を得られるというわけだ。ここで、文科省と2団体の話を混同するのは筋違いだが、その根底あるのは、ヒップホップカルチャーなるストリートカルチャーが、つまらないオトナたちの餌食になっているという事実だ。かつて「ロックの終焉」が謳われたが、僕たちは今「ヒップホップの終焉」を目撃しているのだ。

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コメント: 2
  • #1

    一休 (水曜日, 23 5月 2012 09:26)

    「先生の後について、踊るんだYo」
    「いち、にの、さん、ハイ」

  • #2

    You (月曜日, 28 5月 2012 19:12)

    ダンスと言っても色々あるのに、どうしてそのなかからヒップホップダンスが選ばれたんでしょう。